カントー大学 TKN 中・高校 チャット・ビン中学校 アンザン大学

TKN 中・高校

メコンデルタ地図 ベトナム南部メコンデルタ地帯のアンザン省チャウドック市(ホーチミン市から約250キロ西南)にある6年生から12年生までが学ぶ中高等学校。チャウドック市は、メコン川がカンボジアから流れてくる最初の都市で、人口12万人。
TKN校は、男女共学、生徒数5,000人以上いるアンザン省でいちばん大きな学校です。 ちなみに、FUJI奨学金を贈りはじめた1995年は64クラスだったのが、97年は95クラス、2000年には117クラスと5年間でほぼ倍の規模になっています。また、95年には1つだったキャンパスも、99年新キャンパスが出来、現在(2000年)は3つに増えています。学校では校舎整備の計画を3期にわけて進めていて、第2段階にさしかかったところで2000年の洪水の被害にあい、中断してしまいました。計画は2002年までかかる見通しです。
授業は生徒数が多いため、午前、午後の2部制になっています。
農村部から通ってくる生徒が多く、ある生徒は、午前4時に起床、5時に家を出て学校に着くのが6時半、それから11時まで授業、と語っていました。
ベトナムの教育現場である学校の整備は大変遅れています。体育の勉強には体育館がなく、音楽の勉強にはピアノどころかギターやマンドリンなど簡易な楽器も皆無で、医療のこととなると保健室もありません。TKN校もその例外ではありません。

TKN 中・高校訪問記

冠水した校庭 郊外のサム山から市内に入っていく。メコン川畔のビクトリア・ホテルに近づくにつれ、洪水の水につい最近まで浸っていた跡が見え始める。ホテルから、さらにマーケットのある市の中心部に進むと、水がまだ引いていない道路、床上ぎりぎりまで水に浸った家々が目に付く。TKN校はその中心部から300メートルほどのところにあります。
メコン川流域のラオス、カンボジアも、ことしは40年振りという大洪水に見舞われています。ここチャウドックも、7月末から洪水がはじまり、11月いっぱいまでつづくだろうということです。家屋の浸水、破壊、農作物への被害は甚大で、農家は深刻な打撃を受けています。
学校も前の道路は冠水していました。校門から教室まで、土嚢を積んで通れるようにしてある校庭は、まだ水が残ったままです。50名近い生徒が、土曜の午後で授業がないにもかかわらず、午後2時から奨学金授与式のために待機していてくれました。

通学風景

《ドゥック校長先生の話》

「本校は、1ヶ月間水に浸っていたので、皆様を満足におもてなしすることができず、お詫びいたします。今いるこの教室も、一時は40センチほど水に浸っていて3日前にようやく水がひいたところですし、昨日までは、校門まで板の橋をわたって教室に行かねばなりませんでした。
ドゥック校長 中学生、高校生があわせて学ぶこのTKN校は、昔、科挙試験で首席になった有名な方の名にちなんでつけられました。TKN校は、規模は大きいけれども、インフラは追いついていません。しかし、生徒のモラールは、省でいちばんという評価を得ています。学力も、大都市と比べて遜色ありません。省一番の成績で、表彰もされました。
9月から、ベトナムでは新学期が始まります。今年は、ある校舎は1メートルも水没してしまいました。しかし、洪水のなかでも、中学1・2年生を休みにしただけで、あとの学年は通常授業をしています。生徒たちの力で、ほかの誰の力もかりず、洪水の掃除や後片付けをしています。学校では洪水の被害を調査し、影響の大きかった160人の生徒を援助しました。9月にFUJI奨学基金から、今年も76人の生徒に奨学金を贈るという連絡をいただいたとき、洪水の被害状況を説明し、100人分の援助を約束してもらいました。
FUJI奨学基金からいただいた奨学金は、成績優秀だが家庭の経済状況がきびしい生徒に贈っています。皆さんが訪問してくれることを聞いて、みんな喜んでいます。
FUJI奨学基金のみなさんにお願いがあります。ここにいる生徒たちを、自分の子ども、孫、おい、めいに接する気持ちをもって、考えていてほしい。」
2000年10月7日(土)午後3時半

TKN 中・高校学生の声

授業風景

生徒 《Aさん/女子/高3》
「自分は学校に来られて、幸せだと思っています。私には、学校に行けない友人がいっぱいいます。先生に会え、勉強ができることは、本当にうれしいことです。人によって困難の程度はちがうけれど、努力して、貧しい今の境遇から脱するようがんばります。私は、親、先生だけでなく、FUJI奨学基金から援助をもらい、多くの人の助けでこうして勉強していられます。私たちだけでなく、奨学金を受けていない友人たちが、おおぜい奨学金を受けられるようにしてほしいです。」

生徒




《Bさん/女子/高3》
「(日本側の制服についての質問に答え)ベトナム人として、学校に行け、きれいなアオザイを着れることを誇りに思っています。」





《Cさん/男子/高2》
「国に役立つように、家族・友人・先生の力添えを受けて、自分もがんばっています。さらに、FUJI奨学基金の皆さんから設立の経緯を聞き、皆さんの篤い思いを聞きました。 まわりの方からいただいている暖かい援助の気持ちを、わたしもずっと持っていたいと思います。」

授業風景



放課後のクラブ活動に関する日本側の質問に対し、ドゥック校長先生が答えました:
「日本の教育環境は先進的で条件が整っているが、ベトナムはまだ戦争がおわって25年、きびしい経済状況に置かれ、インフラが足りず、教室も足りないのです。生徒たちは、学校がおわったら家の手伝いをしなくては生活できないのが現状です。とてもクラブ活動をする余裕はありません。」
2000年10月7日(土)午後3時半
ハイキング


翌日の日曜日、TKN校の高1から高3の男女生徒、FUJI奨学基金のメンバー約30名で、マイクロバス3台に分乗し、朝8時から午後3時まで、チャウドックから80キロほど離れたカム山へでかけ、一緒に山に登ったり、写真を撮ったり、交流を楽しんで、忘れられない思い出となりました。